引用元:glassnode
Realized Priceとは、各ビットコインが最後にオンチェーンで取引された日の金額で評価した、ビットコインの供給量の平均価格です。
MVRVとは、Market Value to Realized Valueの略語で、ビットコイン投資家が保有する平均的な含み損益の倍率を測定するオシレーターである。MVRVを分析することで、ビットコイン市場のサイクルや収益性を可視化することが可能です。
- Market Valueとは、市場価値のことで、ビットコイン価格のことです(上のグラフの黒線)。
- Realized Value(Realized Price)とは、実現価値(実現価格)のことで、上記の通り、オンチェーン分析で算出されるビットコインの供給量の平均価格です(上のグラフのオレンジ線)。
- オシレーターとは、「振り子」「振り幅」という意味です。投資指標としてのオシレーターは、相場の「買われ過ぎ・売られ過ぎ」を示すテクニカル指標の総称で、相場に明確なトレンドがない状況などの投資判断で力を発揮されます。
Realized Priceについて分析することで、現在のビットコイン保有者の平均が、実際のところどの価格帯で購入した人が多いのかを把握することができます。
このRealized Priceと市場価値(単純なビットコイン価格)を比較したMVRVについて分析することで、現在のビットコイン保有者の平均が、どの程度含み益か含み損かを把握することができます。
ここから、Realized PriceとMVRVの意味と活用法を詳しく解説していきます。
Realized PriceとMVRVの意味と解釈
Realized Priceは、すでに伝えた通り、各ビットコインが最後にオンチェーンで取引された日の金額で評価した、ビットコインの供給量の平均価格です。
これを解釈すると、Realized Priceは市場の「オンチェーンコストベース」とみなすことができます。
要するに、Realized Priceは、ビットコイン保有者の平均的なビットコイン取得価格(コストベース=支払い水準)ということですね。
MVRVは、ビットコイン価格をRealized Priceで割った値なので、次のように解釈できます。
- MVRVが2.0であることは、現在のビットコイン価格がビットコイン保有者の平均取得価格の2倍にまで上昇していることを意味します。
- MVRVが1.0であることは、現在のビットコイン価格がビットコイン保有者の平均取得価格倍と一致している(ビットコイン保有者は損益分岐点にいる)ことを意味します。
- MVRVが0.85であることは、現在のビットコイン価格がビットコイン保有者の平均取得価格より15%低いことを意味します。
これは私の解釈ですが、MVRVの分母の「ビットコイン保有者の平均的なビットコイン取得価格(オンチェーンからみた各ビットコインの最終取引価格の平均)」は、分子のビットコイン価格よりも、安くなる傾向があります。
というのも、オンチェーンからみた各ビットコインの最終取引価格には、2010年に最後の取引をしたビットコインや、2015年に最後の取引をしたビットコインも含まれるからです。
このように、ビットコインが今より格安だった時期に最終取引があったビットコイン(長期保有者がいるケースや昔紛失したケース)があることを考えると、MVRVの分母は小さくなる傾向があり、MVRVの平均値は1以上(おそらく1.2〜1.3)になる傾向があります。
以下ではこのような解釈のもとにMVRVの活用法を書いていきます。
MVRVの活用法
MVRVの活用法としては、
- MVRVは基本的に1.2〜1.3(グラフの右軸の120〜130%)なので、このタイミングではオシレーターとして機能しない。
- MVRVが1以下になってるときは、市場参加者全体が含み損になっている状況で、「売られ過ぎ」と判断できるので買い(グラフの赤ゾーンと買い矢印)。
- MVRVが2.0以上(200%以上)になってるときは、市場参加者全体が2倍の含み益になっている状況で、「買われ過ぎ」と判断できるので売り(グラフのオレンジが上に急激に伸びているゾーンと売り矢印)。
というのが有効だと思います。
MVRVの応用分析:MVRV Ratio (Market Extremes)
引用元:glassnode
MVRV Ratio (Market Extremes)は、MVRVの値に応じてグラフに色付けすることで、価格サイクルの動向を視覚的に分かりやすく示したものです。
- MVRVが3.2以上になっている赤色のタイミングは、市場全体が+220%超えの含み益を有する上昇最後のピーク時期(売り時)
- MVRVが2.4〜3.2になっているオレンジ色のタイミングは、市場が+140〜220%の含み益を有する上昇時期
- MVRVが1.0〜2.4になっている白色のタイミングは、市場が+0〜140%の含み益を有する通常時期
- MVRVが0.8〜1.0になっている緑色のタイミングは、市場が-20〜0%の含み損を有する下落時期
- MVRVが0.8以下になっている青色のタイミングは、市場が-20%超えの含み損を有する下落最後の底時期(買い時)
と捉えるのが良さそうです。
この記事を執筆している2023年6月上旬については、MVRV的には「買い時」とも「売り時」とも言えないタイミングですね。
もちろん、Realized PriceやMVRVの指標だけを参考にして売買判断をするのはリスクがあるので、他の指標と合わせて売買の判断材料とするのがいいでしょう。
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