引用元:glassnode
Stock-to-Flow Ratio(ストックフローモデル)とは、ある商品がこれまですでに流通した「ストック」と、その商品が今後新たに流通されるであろう「フロー」の比率から、その商品の価格を予測するモデルです。
ストックフローモデルは、もともと金や銀などの貴金属の価格予測をするためのモデルでしたが、ビットコイン投資家として有名なPlanB氏によって、ビットコインの価格予測にも適用できると広く認知されたようです。
また、ビットコインにはおよそ4年おきに半減期があり、このタイミングで新たにビットコインが流通される「フロー」が半減していきます。
そのため、ビットコインのストックフローモデルは、金や銀などのストックフローモデルとは異なり、4年おきの周期性をもった価格モデルとなっています。
- 半減期とは、ビットコインのマイニング報酬(フロー)が半分になるイベントのことです。ビットコインのシステムは、マイナーによるブロック承認によって成り立っているので、半減期はビットコイン価格への影響が大きいイベントです。
ビットコインの価格推移は歴史的にこのストックフローモデルに従っているので、将来のビットコイン価格を予測するうえでもストックフローモデルは有効だと考えられます。
また、今回のグラフでは、直近半減期からの経過日数に応じてグラフに着色されているので、半減期からどの程度経ったタイミングはどのように値動きしやすいかという、4年ごとの価格サイクルにも注目して分析していきます。
ここから、Stock-to-Flow Ratioの意味と活用法を詳しく解説していきます。
Stock-to-Flow Ratioの意味と解釈
Stock-to-Flow Ratio(ストックフローモデル)とは、ある商品がこれまですでに流通した「ストック」と、その商品が今後新たに流通されるであろう「フロー」の比率から、その商品の価格を予測するモデルです。
ここでは、ビットコインについての流通量をもとにビットコインのストックフローモデルについて解説するため、これまでに発行済みのビットコイン(ストック)と、日々のマイニングで新たに発行されるビットコイン(フロー)に着目して、ビットコイン価格がモデルと比べてどのように推移しているかを判断します。
また、ビットコインは4年ごとにくる半減期によって、新規発行量(フロー)が半減するため、ビットコインのストックフローモデルでは4年ごとの周期性が見られます。
Stock-to-Flow Ratioとビットコインの価格推移をみると、次のように解釈できそうます。
- Stock-to-Flow Ratio(グラフの灰色線)は、2012年、2016年、2020年の半減期ごとに、「フロー」が減少してビットコイン価格が上がっていくような階段状の価格モデルになっている。
- 実際のビットコインの価格(青〜赤で色付けされたカラフルなチャート)は、ストックフローモデルより上に乖離することもあれば、下に乖離することもあるが、おおむねストックフローモデルに沿うように価格推移している。
- 2010年〜2015年は、ビットコイン価格がストックフローモデルに対して、おおむね上に乖離して価格推移している。
- 2015年〜2021年は、ビットコイン価格がストックフローモデルに対して、ほぼ乖離なく価格推移している。
- 2021年〜2023年は、ビットコイン価格がストックフローモデルに対して、おおむね下に乖離して価格推移している。
- 半減期を迎えてから1年半ほどの期間(価格チャートの青〜緑の部分)では、ビットコイン価格が上昇する傾向にある。
- 半減期から1年半経過した時から3年半経過した時までの期間(価格チャートの黄〜オレンジの部分)では、ビットコイン価格が下落する傾向にある。
- 半減期前の半年間(価格チャートの赤部分)では、ビットコイン価格が上昇する傾向にある。
時間経過に伴って、ビットコイン価格がストックフローモデルより下振れしていっている理由については、現時点の私では論理的にうまく説明できないので、ストックフローモデルについての理解度がより深まったタイミングで追記しようと思います。
また、ビットコイン価格が半減期の半年前〜半減期後の1年半で価格上昇しやすく、それ以外の期間で下落しやすい理由については、半減期というイベントに伴って注目度が高まることが理由の1つかと思います。
ビットコインは、株価のように業績による裏付けで価格が決まるものではなく、金(ゴールド)のように希少性による裏付けで価格が決まるものなので、半減期などの注目度が上がる時期には価格が上がりやすく、それ以外の時期には価格が下がりやすいという、モメンタム的な性質があるのだと思います。
Stock-to-Flow Ratioについてのここまでの解釈は、私なりに理解している部分を言語化したものなので、間違っている部分もあるかもしれませんが、以下ではこのような解釈のもとにStock-to-Flow Ratioの活用法を書いていきます。
Stock-to-Flow Ratioの活用法
Stock-to-Flow Ratioをトレードの参考指標として活用する上では、大きく2つの活用法があると感じています。
1つ目の活用法は、Stock-to-Flow Ratioとビットコイン価格の乖離について、大枠で捉えてビットコインのピークを捉える方法です。
このグラフのように、数年おきに区切ってStock-to-Flow Ratioを分析すると、
- 2011年〜2015年の期間では、ビットコイン価格(カラフル)がStock-to-Flow Ratio(灰色線)より上に乖離している。
- 2015年〜2021年の期間では、ビットコイン価格(カラフル)がStock-to-Flow Ratio(灰色線)とほぼ乖離がない。
- 2021年以降の期間では、ビットコイン価格(カラフル)がバブルピーク時のみStock-to-Flow Ratio(灰色線)と一致するが、おおむね下に乖離している
という傾向がわかります。
これをトレードに活かすためには、次のピーク時の目安として、「ビットコイン価格がStock-to-Flow Ratioに触れる(もしくはほとんど乖離がなくなる)」タイミングを売り時と考えるのが良さそうです。
Stock-to-Flow Ratioの2つ目の活用法としては、Stock-to-Flow Ratioのチャートの色に着目して、このグラフのように、半減期からの経過日数によって2つの時期に分類するのが有効だと感じています。
- 「半減期半年前〜半減期1年半後の時期」=「チャートがオレンジ色から黄緑色になる時期」=「過去にビットコイン価格の上昇傾向がある時期(グラフの白背景)」
- 「半減期1年半後〜半減期3年半後(次の半減期の半年前)の時期」=「チャートが黄緑色からオレンジ色になる時期」=「過去にビットコイン価格の下落傾向がある時期(グラフのグレー背景)」
このように考えると、この記事を執筆している2023年7月上旬については、「買い時」とも「売り時」とも言いづらい状況ですね。
半減期から経過日数で考えると、2023年後半にグレー背景から白背景に切り替わるので、そのタイミングを買い時と捉えて、ビットコイン価格がStock-to-Flow Ratioに触れる(もしくはほとんど乖離がなくなる)タイミングを売り時と捉えるのも有効だと思います。
もちろん、Stock-to-Flow Ratioの指標だけを参考にして売買判断をするのはリスクがあるので、他の指標と合わせて売買の判断材料とするのがいいでしょう。
Stock-to-Flow Ratioの参考動画
この記事では、私なりの解釈に基づいて、ビットコインのStock-to-Flow Ratioについて解説しました。
ですが、Stock-to-Flow Ratioについてより深く理解するためには、他の鉱物(金や銀など)のStock-to-Flow Ratioについての知見も深めることが重要です。
この動画は、ビットコイナーとして有名なKoji HigashiさんがStock-to-Flow Ratioについて解説したもので、他の鉱物(金や銀など)との比較なども踏まえて詳しく述べられているので、ぜひチェックしておくことをお勧めします。
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